フランスで暮らすイラストレーター兼作家で、コミュニティメンバーでもある龍山千里さん @ttymcst によるエッセイ。完全には分かり合いきれない文化が違う人々との暮らし。それを「フィールドワーク」と捉え、観察する日々を綴っていただきます。
久々にプールへ行った。こちらのプールは日本の大衆浴場のようにサウナがついているところも多く、これがかなり良い。
サウナでからだが火照るとプールで泳ぐということを繰り返すのですが、今日はふとプールの隣にあったウォータースライダーが突然気になった。
大人でも滑れるとのことで(父親らしき男性もよく子どもと一緒に並んで滑るのですが、あれは付き添いではなく、すなおに楽しんでいるな、という人が結構多い)6歳くらいの子どもに挟まれながらなんと3回滑り(!)いつもは出さない声が出た。あのスピード感を感じたのも久々でした。
童心にかえるとはまさにこのこと。大人になってから子どもの時の体験をなぞるって新鮮でうれしい。小さいときの自分に「よう!」と声をかけたような心地だった。
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さて、パリの近くにいて個人的によかったことの一つとして、色んな人が様々な中継地や目的地として訪れてくれることが挙げられるかなと、コロナ禍があけたここ数年、時折実感する。
ファッションウィークやなにかのイベントの節目の度に仕事をしに来たり、プライベートや出張で立ち寄る知人や友人が意外といる。
私が近郊に住んでいるのはSNSなどで知ってくれているからか、会っとくかと声をかけてくれるのが嬉しい。疎遠だった人たちとも再会するきっかけになってくれる。
先日はアイルランドに住んでいる友人が週末旅行に来てくれてお茶をした。
高校時代からの友人で、多分ちゃんと話し込むのは17、8歳以来とかではなかったかと思う。互いの人生や生い立ちをなぞり合う中で、なぜかしぜんとお茶の話になり(彼は東京に戻ったとき、Dgs phytreat に訪れておりました!気になっていたのだそうです)アイルランドでもハーブティーとか飲むの?と聞くと「うーん、海に囲まれてるからから、けっこう海藻のお茶を飲むね」という意外な返事にびっくり。海藻のお茶って昆布茶以外、あまりなじみがなかったです。
「おもしろいね」
「うん、そうなんだよ」
1時間くらい思い出話や近況をたんまり話したはずなのに、印象にのこった会話は、なぜかこの海藻のお茶についてでした。それも良きかな。
人も場所も体験も、こういういろんな「再会」が偶然に重なることで、人生はかろやかに味わい深いものになっていくんだなと思ったひとときでした。
みなさんのこのごろの思わぬ人やものとの再会があったらぜひ教えてください。
(2024/04/27公開)
龍山千里 | Chisato Tatsuyama
1991年神奈川出身、フランス在住。テキスタイル業界で働いた後に渡仏。パリで半会社員生活の傍ら、コラージュ制作やデザイン、記事執筆。
instagram @chisato_tatsuyama
【編集部より】
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