2020年後半、息子がまだお腹の中にいた頃。フランスでは大規模ストライキが発生していました。


交通機関はまともに機能せず、徒歩で通勤したり、自転車で通勤する人も増えました。
その前は"黄色いベスト運動"なんかもあり、フランスの社会混乱に辟易としておりました。

コロナの影が忍び寄っておりましたが、、まだ対岸の火事で
エルボリストリはいつも通り人がいっぱい。小さな店内ではすれ違うのもやっとです。


もう、そろそろゆっくりしたいな・・・
当時のエルボリストリは、まるで戦いの場のようでした。
少なくとも、チームの中でそう思っていたのは私だけではないはず。
エルボリストリで働いていたこと、決して華やかな経歴ではありません。
今後もそのように仕立てるつもりは全くないです。

とにかく    必死    です

誰かを、何かを目指すわけではありません。

とめどなく訪れるお客さんひとりひとりに向き合い、名前も知らないハーブ達とたくさん出会い

母国語でなかったからこそできた、文字や言葉を超えた向き合い方をしていたと思います。

そしてそれを元に体の状態やおすすめする植物の働きなどをしっかりと自分の言葉で説明して納得してもらいたい。

日本語で対応するのと同じように、フランス語でも伝えなければということ、細部のニュアンスにも拘っていました。

今考えると、着実にできるようになっていました。でも当時は自分に合格点を与えることはできませんでした。

2024年1月、お仕事でパリへ再訪する機会をいただきました。それきっかけに、色々なことを振り返り、はたまた様々な刺激を受けたことをここに記しておきたいと思いました。よろしければお付き合いください。


2021年夏、フランスから日本へ本帰国しました。
帰ってきたら浦島太郎状態。タイムスリップしたみたい。

60手前だった母親は70近くなりすっかり歳をとっているし(そりゃそうなんだけれど)
父の認知症もすっかり進行しているし

フランスで過ごした時間の長さを認識させられるんですよね。
そして今回は3年ぶりに、フランスへ。日本に本帰国してからは初めての渡仏です。
またもタイムスリップしたような感覚に陥ります。

フランス語忘れてないかな・・・街中でおどおどしたりしないかな・・・と不安もありましたが

ところが今回は、なんか楽。明らかに力んでない。
そして今回与えられたミッションである「展示会での来訪者対応」にいざ就いてみると

・・・あれ?!私、今最強じゃん?
自分の言葉で、商品の良さ、表現したかったこと、が自分で伝えられている。
ただ翻訳して説明しているだけじゃない。自分から溢れ出てくる表現がすごい
てか相手もめっちゃ応えてくれる〜!

パリで"Well-being"を感じられるときが来るなんて・・・!!
距離を置いてみて初めて気づかせてもらいました。

パリが、フランスが、どういう場所かということは自分次第で変わる、変えられる。
また、度々感じた「タイムスリップ」を経て

本当に人生は一度きりということ、時は過ぎていく一方であるということが強く意識に刻まれています。

そういえば道中の飛行機内で、映画の「あん」を観ました。
私も、ハーブの声を聴いている、んですよね。

どんな場所に生育して、どんな環境にいて
どういった状態で加工されてきたのか
それが皆さんにとって「声」かどうかはともかく

自分なりのそれぞれのハーブの捉え方を見つけていただきたいです。

そして、必ず、積み重ねてください。

どんな形でもいいです。ハーブとの対話、そしてハーブがあることによって生まれる時間を
積み重ねていってみてくださいね。


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エルボリストリ時代の数少ない写真。
普段はやらない袋詰めですが、取材を機にハーブに触れてるんるんです。

(2024/02/11公開)