連載開始と同時に一人用のボートで海へと漕ぎ出したパリ在住の龍山千里さん @チサト 。エッセイ「ボートを漕ぐ道すがら」では、ボートの内と外を巡らせて浮かび上がるその時々の心象風景を綴っていただきます。毎月、創作してくださるエッセイの挿絵もお楽しみに!



今年の夏は夫の家族が住むブルゴーニュに1週間ほど滞在した。青々としたブドウ畑が広がる眺めはきれいだが、厳しい暑さと寒さに耐えて美味しいワインが生まれるということはつまり、夏はかなり猛暑なのだ。昼は外に出たくないほど。

幸いにも夜の9時くらいでもまだ明るいので、日が暮れだしてから庭で夕ご飯を食べるという生活リズムだった。ヨーロッパの人が夕食をとるのはなぜ時間が遅いのか、こちらにきてわかったことの一つだ。


畑や地元の市場で買う食材で作ってくれるご飯はシンプルながら、いつも美味しいな…としみじみする。

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よく作ってくれるズッキーニのひき肉詰めが今回も美味しかった。トマトやズッキーニの果肉も入った具は重すぎず、でも程よくお肉でエネルギーが得られながら、夏野菜の旨味がたくさん感じられる。

いつも口頭でなんとなく聞いて終わるので、携帯にメモした簡単レシピを突然ですが共有します。

①ズッキーニの中身をくり抜く
②ズッキーニの果肉と刻んだトマト、玉ねぎ、にんにくを鍋で炒める
③ひき肉(合挽きなどでよし)、②の野菜、パン粉とかクラッカーを砕いたもの(水分を吸う)、エストラゴンを混ぜて中に詰める
④200℃で1時間15分ほどオーブンで焼く



今回の滞在中は、夫の従姉妹と3才の娘もパリから遊びに来ていた。

小さな女の子に私は「Elle est où, la petite fille ?(あの小さな女の子はどこ?)」と呼ばれ探されていたらしい。おばさんって認識されるよりいいじゃない!とまわりから言われたが、真意が気になる呼び名で笑えた。

ところでフランスの夏は蜂が多く、食事中かなり寄ってくるのだけど、フランス人は放っておき気味。ミツバチ(abeille)は悪さをしないので放っておけばよくむしろ可愛いという感覚。パリでもよくテラスで見かける攻撃的なタイプの蜂(guêpe)がきても基本的にこちらが攻撃しなければいいので静観するスタイルで、よく食卓に共存している。私はguêpe に未だに慣れず、家の庭でも3才の子どもと共に毎食ビビっていた(これがpetite filleと呼ばれる所以かもしれない…)。


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これを書きながら思い出したが、フランスは湿度が高くないから、家にはクーラーがついていないことが多く、窓をあけて寝る。その割に網戸が存在しないので、蚊が入ってき放題なのを渡仏当時おどろいた覚えがある。

都会っ子でもなんでも、虫に対する感覚が度々違うからおもしろい。



龍山千里 | Chisato Tatsuyama
1991年神奈川出身、2020年よりフランス在住。日本の織物産地でテキスタイルデザイン職を経て渡仏、2024年秋よりフリーランスとして活動を開始。コラージュの手法を用いてイラストレーションやデザインを制作する。
instagram @chisato_tatsuyama 



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