コミュニティメンバー tomoharuシェフ @tomoharu の連載「日々のルセット 〜千変万化」。ルセットとは、フランス語でレシピのこと。暮らしの巡りのなかに無理なく取り入れられるお料理レシピを教えていただきます。
と言いながら、今回のテーマはレシピではなく、料理そのものとの向き合い方の楽しい提案！ ぜひお楽しみください。
皆様、こんにちは。10月から隔月の連載を担当しております、料理人のともはるです。
「日々のルセット〜千変万化〜」と題したこの連載では、日々の料理や暮らしを通じて、新しい発見や楽しみを皆さんと共有していきたいと考えています。
第一弾では、簡単で秋冬の食卓に取り入れやすい鮭のレシピをご紹介しました。たくさんの方に作っていただき、お写真のシェアも楽しく拝見させていただきました。ありがとうございます。
今回の第二弾では、少し趣向を変えて、料理に対する考え方や楽しみ方についてお話ししたいと思います。この内容は有料会員以外の方もご覧いただけますので、ぜひ気軽に読んでみてくださいね。
今回のテーマは「料理を自由な発想で楽しむ」です。
お家で料理をする中で、「これって正しいのかな？」「こんな組み合わせありかな？」と悩むこと、ありますよね。普段使わない食材を貰ったり、レシピ通りに作るには材料が足らなかったり。
でも、実際には料理に“正解”や“間違い”はないのです。むしろ、自由な発想やチャレンジが、新しい発見や美味しさにつながることが多いのではないでしょうか。
たとえば、僕が以前インスタライブで夜ご飯を作ったときの話です。
確かその日は、1週間分の作り置き弁当を作ろうと、ご飯に鶏のひき肉入りのトマトソースをかける謎の料理を生み出しました。卵があればオムライスになる可能性もありましたが、料理名のない料理を作るのは得意です(笑)。
ボイルした小松菜も添えて、もち麦入りの玄米
たまたま思いつきで作ったのですが、作っている途中で、これはエジプトの国民食「コシャリ」にそっくりなのでは？という考えがよぎりました。
コシャリとは、炊いたご飯、パスタ、レンズ豆を混ぜ、スパイシーなトマトソースをかけていただく料理です。さらに、仕上げには辛味の効いた「シタソース」や酸味のある「ダッカソース」を加えるのが特徴でもあります。
オリジナルの名前のない料理を作ったつもりでしたが、やはり世界のどこかにそっくりな料理は既に存在しています。特許と同じく、自分が初めて思いつくことは滅多に存在しないのではないかと思います。
豆やパスタ、ご飯を一緒に混ぜる!? ！？という発想に驚く方もいるかもしれませんが、日本にも「そばめし」という料理がありますよね(笑) 。あれも、お好み焼きソースで味付けされたそばとご飯を混ぜるという、独特な発想から生まれた美味しい料理です。
今この文章を書いていて色々な料理が思い浮かんでおります。
他にも面白い例をご紹介しましょう。スペインでは「パエリア」が有名ですが、実は「フィデウア」という料理もあります。フィデウアは、パエリアのように鉄鍋で焼き上げるのですが、使う主食がご飯ではなく短いパスタ（フィデオ）です。魚介をたっぷり使い、オリーブオイルとサフランの風味が効いた料理で、パスタがご飯のように味を吸い込むのが特徴です。
え、あのお米の部分がパスタ!? 何それ美味しいの？ と思う方も居るかもしれませんが、めちゃくちゃ美味しいです！
昔スペイン料理屋（結構珍しい料理も出すお店でした）で働いていた時のこと。まだ世界の料理についての知識が無かったので、初めてフィデウアを見て、「何これ？ どういうこと？ 間違えて作ったのかな？」と思ったくらいに衝撃的な料理を見た、という記憶があります(笑)。
パエリアに親しんでいる日本の方にとっても、新しい発見になる料理ではないでしょうか。ぜひ一度、画像を検索して見てみてください。
こうして見てみると、先ほども書いたように料理のアイデアや組み合わせに「正解」や「間違い」はないということが改めてわかります。
たとえば、ポトフとおでんが似ているように。
日本の料理と考えるか、別の地域の料理として楽しむかで、いつもの食卓がちょっとだけ楽しくなります。
料理の固定概念を外してみると、新しい発見がたくさん生まれるはずです。味噌汁にオリーブオイルを垂らしてみたり、お雑煮にごま油を加えてみたり、餅にケチャップとチーズをかけて焼いても美味しい。余り物を組み合わせるだけでも、ちょっとした冒険になります。
そして、ここで皆さんにもぜひ考えていただきたいのですが、「完成している料理に何かを加えたら別の料理になりそうなアイデア」があれば、ぜひコメントで教えてください！
たとえば、肉じゃがに牛乳とバターを加えたらシチューになりそう、みたいな？ 皆さんの工夫を共有することで、より豊かな料理の楽しみが生まれると思います。柔軟な姿勢で、料理と向きあう。頭を柔らかくして、いろんな可能性を料理に注いで行けたら楽しいですね。きっと食材も喜ぶと思います。
ちなみに、1月にはまた皆さんに作っていただける簡単なレシピをご紹介する予定です。
師走で何かとバタバタする時期ですが、どうぞ体調に気をつけて。風邪や交通事故にも注意してくださいね。健康に気をつけながら、素敵な新年を迎えていただければと思います。
今年一年、コミュニティの皆さまと出会い交流させていただき、本当にありがとうございました。来年も皆さんの暮らしがより楽しく、充実したものになるようなアイデアやレシピをお届けしたいと思います。
そして何より、来年が皆さんにとって幸せと笑顔にあふれる素晴らしい1年になりますように。どうぞ良いお年をお迎えください。
tomoharu（ともはる）
フランスでのワーキングホリデーをきっかけに日々の暮らしを見つめ直す。世界各国を食べ歩き、ジャンルに縛られない「素材を活かしたシンプルで自由な料理」を広めるために活動中。記事公開の本日12月20日より、福岡市内にてカフェ「Dantre（ダントル）」がプレオープン！
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